福祉業界(精神障害編)

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自らの人生経験と重なった愛しい当事者たちとの出会い

この頃の私は前年の暮れに訪問看護の事業所で事務員兼雑用他なんでも担当として仕事に就くことができました。実はここを紹介して下さった方は前出の団体の事務局長で、こちらでは事務長をされておりました。ただ個人事業主でもあったため正規職員ではなく顧問か業務契約だったのだと思います。常勤ではなく週2~3回のフレキシブルな勤務になっていました。

この事業所は事業開始してまだ1年足らず、なんとか船出したものの様々な解決すべき事務系の問題が沢山ありました。ここまでの業務は事務長を中心に作りあげてきたものでした。いちおう入社前に事務長から解決すべき問題点は伺っていましたが、2ヶ月ほど経過して仕事にも慣れて事業所の全体像が見えてくると、問題点は事務長が捉えていた事とは別のところにあると感じるようになりました。

会社の運営において肝心の看護業務を担う社長や専務の含めた看護師たちの現場の考え事務長の考えがそもそも根本的に違っている事がわかりました。現場の意見は結論はとてもシンプル、仕事を効率良くやりやすくして欲しいという事でむしろ当たり前の事です。事務長の意見は形式や体裁を重視する部分が多く、現場の現状が把握されておらず「事務や経営はこうあるべき」、要は事務長がしたい事でした。

ある日、事務長がおそらくネットで拾ってきたと思われる業務工程表のようなサンプル帳票を渡され「労務管理に必要だからexcelで作って」と依頼がありました。集計部分の数字はどのように集計するか、サンプルの会社と当社で相違してる部分はどうするのか、ここを明確にしてもらわないと作れないので「どうします?、こうしますか?」と伺いましたが困惑して返答がなく「はっきりしてもらわないと集計できませんよ」とさらに伺い続けたらキレました

本人はそれぞれの数字の意味合いをちゃんと理解していなかったようです。会社の全体会議でも似たような事がありました。業務で使用する帳票を事務長が設計したのですが、実用レベルに程遠いので(私)が作り直したほうがイイという看護師全員一致の意見が出て、私が2日後に作り直した帳票は看護師たちに大好評となり、事務所内は「これイイわ、使いやすいわ」の声で溢れ、その場の雰囲気から事務長も「すごいねー、さすがだわー」と声をかけてくれましたが目は笑っていませんした。

この頃から何となくイヤな予感はしていました。

車通勤する看護師の交通費の見直しの件では「少しでも(支給額を)有利にしてやりたいからパソコンの地図で△△キロ以上になるよう経路図を作って」と依頼してきました。しかしどんな経路を使っても事務長の希望どおりにはならず「税務署もきっちり調べないんだから地図に手書きで経路入れて△△キロを少し超える距離で申告で良いでのでは」と指摘したら「手書きは誤魔化しが効く、パソコンで提出するから信用されるんだ!税務処理をナメるな!」とまたまたキレました

ちなみに地図上の経路で長い直線部分で経路線が上手く重なるよう往復させて距離を稼いて誤魔化しました。はっきり言って不正なんですがこれを印刷して事務長に渡したら「よーし、これなら怪しまれない!、まったくが問題ない!完璧だ!」とたいへん満足されましたが、はっきり言って問題ありすぎです。

やがて私は本格的な事務の効率化の準備を開始しました。事務処理において一番負荷がかかっていたのが一般企業の売り上げに相当する診療報酬請求、レセプトでした。これは社長の奥様が担当していましたが、使用していたソフトが必要最低限の機能しかなく請求に必要データは1から手入力しなければなりませんでした。

そのデータも社内の管理帳票の使いにくさからかなり面倒なチェックが必要であり、会社の勤務時間だけでは終わらず、チェックに必要な帳票類を自宅に持ち帰ってチェックと修正を行っていました。おそらく会社での作業時間と同じくらい自宅で作業してたと思います。このような状況であった事を事務長は気付いていなかったはずです。奥様が子どもの送り迎えで数分遅れで出社したり数分早く早退しても「労務意識が甘い!」と文句を言ってました。給与計算は事務長が行っていましたが、奥様の出勤簿はに自宅で作業した時間は一切入っていませんでした。

レセプトの流れを把握するためレセプトのソフトを調べていくうちに、バイナリデータの塊だったデータベースを構造解析してみたところ、Access(mdb)形式である事を突き止め、個人的にAccessを所有していたので自宅に持ち帰って変換してみたところ、問題なくAccessで読む事ができました。私自身、リバースエンジニアリングを経験していた事が役にたつとは思いませんでした。

こうなると話は早く、看護師には1人1台づつ業務用ノートPCを持たせており、作業記録を入力しているエクセルシートを入力チェックも済ませるよう改良してデータを作成しAccessに取り込み、さらにレセプト用のソフトへ連携させれば社長の奥様が持ち帰って大変な思いをしている自宅作業は必要なくなります。社長にもこの件を了解して頂きAccessも導入していよいよ本格手に仕事着手にとりかかりました。

奥様や看護師たちも大変喜んで期待されましたが、事務長だけは面白くなかったようで、私と二人きりになったときにAccessの使用禁止システム開発禁止を要求してきました。禁止の理由は「お前は事務員として雇ったん雇用契約書の控えも出してきて業務内容のところを指摘してシステム開発や業務改善は契約書に書いていない、システム開発は契約違反だ、俺には人事権があるんだからな、この意味わかるな」と言い始めました。

事務長は私と二人きりにならない限り会社内では普通を装っていました。なので私も二人きりになった時の事を誰にも話しませんでしたし、気付いている人も居ませんでした。Accessが使えなくてもexcelレベルで改善できることが沢山ありましたし、社内にいる間なら我慢するつもりでしたが、勤務時間外で自宅に居るときにも電話がくるようになりました。さらに外出先から携帯に電話がかかってきて「誰か居るか、居たら(話が聞かれないよう)外へ出ろ」と指示があり、そこで愚痴や罵声の数々、こんな事が続きました。

個人名などは控えていますが見る人が見ればわかる部分もありますし、誰も知らない二人きりで起きていた事はまだまだあるのですが、これ以上はキリがないの省略致します。

もうそろそろ限界かなと思いはじめた頃に最悪退職も考えて退職願いも用意し、事務長の件を社長に伝えました。私に非はないと思ってますが丸く収まるとは思えず、どちらかが退職となるなら独身で身軽な私の方イイと思いました。事務長には奥さんも中学生になる子供も居ましたから。そんなわけで私の退職が決まりました。

短い期間でしたが一緒に仕事をしてきた看護師さん達からは「あなたみたいに物知りで何でもできる人こそ必要なんだよね」「またいつか一緒に仕事しよう」とか暖かい言葉をかけて頂きました。グループホームの住人からも「また居なくなっちゃうの(事業所開所以来何名も、とくに若手が辞めているため)」、そして社長の奥様には楽にしてあげるどころか、逆に私が担っていた仕事も引継ぐ事になり、大変申し訳なく思いました。

私が業務全体の様子が見えてきて業務多忙の問題点を口にするようになった頃だと思います。業務量が多い事は全社的に認識できていましたが、その解決策として事務長は人手不足新しい人間を入れる必要があると口にしていました。私はAccessとexcelを使って事務処理を効率化する事で全体の業務量も軽減可能奥様の手も空くので増員する必要もなく新しい事もできると指摘していました。

社内全体が何となく事務長派ではなく私派になってきて、後から社長かた聞いた話ですが私が事務長になったほうがイイと口にした社員も居たそうです。さらに私は常勤フルタイム、事務長は非常勤のフレックス、看護師を過ごす時間は私のほうが圧倒的に多く私のほうが社内の情報量も多いのは仕方がない事です。しかしこれも面白くなかったようで、事あるたびに「おまえはホウレンソウを知らないのか、社会人として資質に大いに問題ある」しまいには「プライドを捨てろ、心入れ替えろ、性格を直せ、お前なんか世間には通用しないぞ」まで言われました。

出勤最終日の定時が最後となりますが、訪問に出て戻ってこれない看護師は早めに最後の挨拶に来て下さり、全員にお礼とお別れの挨拶をする事ができました。グルームホームの住人ともお別れをし、社長の奥様と結局私の後を担当する事となり増員された事務員とも最後の業務引継ぎを終えてお礼とお別れを伝える事ができました。事務長はその日は前々から出社しない日となっており、最後に顔を合わせた日も特に何もなく、最終日に電話の一本すらありませんでしたが、これも予想の範囲でした。