「しまふくごはん」伝説

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計画倒産~本当に伝説となってしまった「しまふくごはんプロジェクト」

しまふくごはんの開幕でもある札幌ドーム開幕戦は例年にない異様な雰囲気がありました。開門を待つサポーターの多くがお金を握りしめた状態で並んでおり、あきらかにしまふくごはんを目当てにしている事が想像できました。そして開門と同時に猛ダッシュ&しまふくごはん争奪戦がはじまりました。正月恒例の福男選びのような光景です。

開門と同時に販売開始となったしまふくごはんは、後から聞いた話ではどこの販売ブースでも5分かからず完売あっという間の出来事だったそうです。ブログやマスコミの効果に加えて1万7千人近いサポーターが詰めかけた中で数量が300個しかなかったのですから当然の結果でもありました。ちなみに数量が300個だった事は菜食健美ブログでも当然公表していませんでした。

鋭いサポーターからは「本当に500個販売したのか」というメールやブログの書き込みもがありました。こればかりは札幌ドームさんとの約束があったので、間違いなく500個販売しましたとひたすら押し切りました。もう持効だと思いますのでここでカミングアウトさせて頂きます。

しまふくごはんのデビューを無事に終え、札幌ドームさんもしまふくごはんの人気を認めざるを得なくなったようで、2戦目は800個作れないかとの問い合わせを頂きました。しかし残念な事にしまふくごはんは一般的な弁当と違って手作り部分が多く、そう簡単に製造数量を増やす事ができず、当初の予定どおり500個が限界でした。

しまふくごはんは毎回メニューを変えシーズン前半で1サイクル、シーズン後半に再度同じメニューを出す計画でした。なので10数種類のメニューが存在する事になります。しかも寮母さんのポリシー(と言うか、しまふく寮飯のポリシー)として「揚げ物は入れない」「ごはんは必ずかやくごはん」「デザート付き」「肉のおかず」「魚のおかず」の2種類を必ず入れる事を取り入れていました。

おかずメニューの5~7割は本当に寮母さん直伝、または限りなく近いオリジナルの手作りレシピで、揚げ物がないこともあってコンサドーレサポーターの主力層でもある中高年の方々に大変評判が良く、毎回のように沢山のお礼メールを頂きました。このメールは私の宝物でもあります。もし自分が飲食提供の仕事をする場合、参考としたい有難い生の声が沢山詰まっていました。

5月のGW期間にはHBCテレビEスポーツの取材依頼を受けました。厚別陸上競技場においてしまふくごはんが販売される様子を放映したいとの事でした。担当ディレクターが作ってきたシナリオでは、しまふくごはんが販売されている映像を背景にして、しまふくごはんの企画したいきさつなどを女子アナさんからインタビューを受けて私が答え、ひととおりインタビューを終えると女子アナさんもひとりのサポーターのように販売の列に並び入手して試食するという内容でした。

HBCテレビのスタッフさんたちはしまふくごはんの威力を甘見ていたと思います。撮影当日、開門時間となり例のごとく購入希望者が猛ダッシュで販売ブースに押し寄せ、それと同時にインタビュー開始となりましたが、最初のナレーションが終わるころ、例のごとくわずか数分(3分くらい?)でしまふくごはんが完売となってしまい、とりあえず私のインタビューだけの収録となりました。

放送日当日は、どのよう編集されたのか楽しみににしていました。まずオープニングで女子アナさんと一緒にやらされた「いいもの発見!、発見!、発見!」という妙なポーズ映像からはじまり、ナレーションのあと私のインタビュー映像が流れました。もうこれしか映像がなかったので終わりかなと思ったら、女子アナさんのしまふくごはんコーナーになりました。

これは女子アナさんのオリジナルレシピでしまふくごはんを作ってみようという企画、しかししまふくごはんのポリシーをご存じなかったようで、2chでは「あんなのしまふくごはんじゃねー」という書き込みに溢れていました。その女子アナさんもすでに円満退社さて、今では立派にお母さんをされております。

とりあえず無事にスタートを切ったしまふくごはんプロジェクトは次の段階へ移る予定でした。しまふくごはんをより一層楽しんでもらうため、次回のレシピが出来上がってゆくところをブログで徐々に盛り上げ、サポーターとのメッセージのやりとりも積極的に行いながら作り上げて一体感を楽しんでもらう企画を考えていました。

しかしここでも札幌ドームからクレームが入り、札幌ドームで販売するしまふくごはんは札幌ドームの商品、ブログの記事を公開する前に内容をチェックするという事でした。実際に訂正の指摘を受ける事はありませんでしたが、いかんせん公開OKの返事が遅くリアルタイム性に欠け、私の考えではレシピブログは最低でも2日に1回ペースで更新したかったのですが、間延びしてしまうためその分のタイムラグを考慮して記事を書かなければなりませんでした。

そう言っているうちにJリーグからもう一つの商品「赤黒カレー」販売認可が降りました。こちらもブログを使って大々的にPRを行い、赤黒2種類ルーのトッピングデモを行いました。実際に販売開始となり商品を手にしたサポーターたちが思い思いの赤黒トッピングを楽しみ、あちこちのブログにアップされるようになりました。

このようにして順調にスタートしたコンサドーレ札幌コラボ企画でしたが、肝心の会社の主力である弁当の製造販売部門が思わしくなくなり、その年の7月末の午後3時をもってみちのく食品は倒産することとなりました。コンサドーレオフィシャルブログ「彩色健美」も会社のホ―ムページも何のアナウンスもなく突然閉鎖する事となりました。

しかし、その3日後に看板を掛けかえただけで新しい会社がスタートしました。新会社の顧問に就任したのは例の経営コンサルタントS氏、みちのく食品の前社長は会社を捨てて夜逃げしました。私は従業員の皆さんの生活を守るため、旧経営陣が見捨てた資産で新会社を立ち上げたとの事でしたが倒産当日の午前中まで前社長は会社に居ました

その後、社長が夜逃げしたため残された資産で3日後に新会社スタートとはあまりにも時間が短かすぎます。商用車などに貼るの新会社のステッカーも用意されており、おそらく計画的な倒産(乗っ取り)だったと思います。しかしここでも疑問に思う事がひとつ、S氏はなぜ社長にはならず顧問に就任したのか、これも後からではありますが想像はできました。ちなみに新社長に選ばれたのは社内でも資産家の部類に入っていた人で、新会社もわずか数年で倒産しました。おそらくこれもS氏の計画どおりだったと思います。

みちのく食品の社員は自動的に新会社に移籍するようになっていたため、とりあえず席をおいて様子を見る事にしました。まず動きがあったのは業務システムの見直しS氏の知り合いよいう業者が入ってきて業務パッケージシステム導入の準備をはじめました。そして社内のシステムを一番把握している私に何の相談もなかった事を考えると、何を企んでいるかある程度の想像はつきました。

システム導入作業も終わりそうな頃、この会社からシステム導入費用総額の見積もりと月額料金が記載されたFAXを目にし、私もこの業界に居た人間なのでひと目見て明らかに高い事がわかりました。相変わらずリースが降りない会社のため、毎月直接支払う契約を結び、裏ではのソフト会社から自分へいくらか戻るように手を打っているような疑惑を抱きました。

新会社がスタートして2ヶ月ほど過ぎたある日、新社長からITシステム担当は廃止するので製造現場へ異動するよう打診があり、受け入れないなら辞めてもらうとの通告がありました。こんな事になるであろう事は想像できていました。しかも準備よろしく退職願もちゃんと用意されている、あとは印鑑を押すだけとなっていました。

こんな事ばかりしていて肝心の商売の事については何の改善もせず、ただ精神論のように販売員の尻を「とにかく売れ、売ってこい!」と叩くことばかりやっていました。根本的な問題解決に着手しようとしないのですから会社が安定して発展するような事は考えられなかったので、気持ち良く辞めさせて頂きました。