ベーシックインカムが注目されはじめた理由

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昨日の記事でベーシックインカムについて触れたついでに、今の段階で私が思うことを書いてみます。

まず私が書く前に、大変参考になる記事を紹介します。2016年3月15日から18日までNewsPicksに経営コンサルタントの波頭亮氏によって4回にわけて連載された「ベーシックインカムとは何か」と題された記事です。

1.ベーシックインカムの社会正義と5つのメリット
2.ベーシックインカムにコミュニタリアンもリバタリアンも賛同
3.なぜベーシックインカムが実現しないのか、その課題と障害
4.成熟時代だからこそベーシックインカムが必要

こちらは少し古いですが、シンプルにまとめられている動画です。

池上彰の学べるニュース ニュース用語 ベーシックインカムってなに?(7分01秒)

ベーシックインカムは様々な社会保障をシンプルに一本化する新しい社会保障の仕組みです。ホリエモンこと堀江貴文氏をはじめ様々な業種、業界の方々がベーシックインカムの導入を推奨しています。

ベーシックインカムは国民全員に無条件で一定の生活費を支給するというものですが、賛成派の中でも若干の差異はあります。例えば毎月の支給額や都市部と地方、医療費や介護費をどうするか、子供は年齢に応じて支給所得制限を設けてもよいのではないかといった枝葉の部分です。

ベーシックインカムは例え高額所得者であろうと資産家であろうと一律に生活費を支給することが基本です。賛成派の一部の中にも財源的に厳しいので少しでも支給総額を減らすために高額所得者など経済的に裕福な人まで支給する必要はないという意見もあります。しかしベーシックインカムの理念において、恣意的な判断を必要としたり不正が無いか監視する無駄なコストを省き、その財源もベーシックインカムの財源とする考えがあります。

少しでも無駄がないようにきめ細かい基準を作って判断したり不正が無いように監視することじたいが無駄という考えが根底になっています。つまり無駄をチェックするコストが無駄ということで、実は今の日本における社会保障制度じたいが複雑になりすぎていて、支給決定の判断や不正防止の監視など膨大なコストがかかっており、にもかかわらず本当に必要な人に効率よく届いていないという事が指摘されています。

生活保護に該当する低所得世帯のうち生活保護を利用している世帯の割合を表す補足率も厚生労働省と総務省でかなりの食い違いがあます。この点からも制度の漏れや不備があったり制度の解釈や現場の判断基準にバラツキがあり、現状すらきちんと補足できていないことが想像できます。つまり制度が巨大化し複雑すぎて正しく運用することはほぼ不可能、支援が必要な人のためにきめ細かくやろうとすればするほど支援が届かなくなるというジレンマに陥ることになります。

であれば、いっそのこと金持ちでも貧乏人でも、生まれたばかりの子どもから老人まですべての国民に平等に生活資金を支給することで、生活保護、失業保険、介護保険、年金、児童手当など、複雑な社会保障制度を廃止して誰にもわかりやすくシンプルにしようというのがベーシックインカムです。

ベーシックインカムを導入する事によって各種の社会保障制度を廃止するという事は、業務を行ってきた省庁や役所はもちろん、業務を担っていた役人や公務員のほか、関係する出先機関や行政法人とその役人や職員も不要ということになります。となるとベーシックインカムを導入するにあたって一番の改善点でもあり問題点でもあります。

話が少し逸れますが、AI(人工知能)やロボット技術によって将来的に無くなる仕事が出てくると言われています。あらゆる仕事が機械でできるようになると普通に考えて人が余ることになります。単純に考えると失業者が増えることとなり、失業保険(雇用保険)や生活保護の受給者もさらに増えることが予想できます。

失業者が増えるということは単純に考えて納税者が減ることになります。生活保護の財源は税金失業保険(雇用保険)も掛け金だけで賄えおらず国庫負担も発生している状況、国の支出は増える一方で、収入は減る(納税者が減る)ことになり、ますます制度維持が難しくなります。

税収は減る一方で支出は増えるばかり、少しでも効率よく予算の無駄が無いようにすることじたい無駄になるというジレンマに陥るほど制度が複雑になっています。そもそも現場の職員が足りないという話まで出ています。

ベーシックインカムの話に戻りますが、ここ数年、一般的に高福祉国家と言われている欧米諸国でベーシックインカムの関心が高まっており、オランダのユトレヒト市では小規模ながらベーシックインカムの導入実験がはじまりました。その他にもフィンランドやカナダのオンタリオ州が実験準備に入ったそうです。スイスでは残念ながら否決となりましたが国民投票に委ねるというところまで注目を集めています。

ベーシックインカムは複雑化した様々な福祉制度を一本化してシンプルにすることですが、日本では生活保護と比較した議論になることが多いので、次回はベーシックインカムと生活保護の違いを書いてみます。

生活保護制度で保護されているという安心感はないと思う、むしろ逆かも