ユニバーサルデザイン料理

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「おいしいものを怖い顔で食べる人はいないはず。自分が作る料理でまわりの人を笑顔にしたい。それが自分にできる恩返しだから」。難病と診断され火を使うことを禁止された青年の夢だった電子レンジと炊飯器だけで障害者でも作れる「ユニバーサルデザイン料理(UD料理)」のレシピ本ができました。

北海道旭川市在住の下田昇兵さんは料理人になるのが夢でした。高校生の時にはじめた居酒屋のバイトでは厨房を任されることもありました。しかし高校2年の時に手足の自由が利かなくなる「脊髄小脳変性症」という難病と診断されました。

手足が思い通りに動かせないため火傷や火事の危険性から火を使うことを禁止されました。それでも料理人になる夢を諦めず「すべての人のためのデザイン」という意味で、障害者でも、高齢者でも、子供でも、安心、安全に作れる電子レンジと炊飯器で作れる料理のアイデアを次々と生み出し、支援者とクラウドファンディングでUD料理のレシピ本に挑戦し、とうとうその夢が実現しました。

「脊髄小脳変性症」とは手足が思うように動かせないだけではなく、振戦という筋肉の収縮と弛緩が繰り返す症状リズミカルに大きく震えるような動きが本人の意思に関係なく続きます。病気が進行するにつれ料理人の夢を諦め引きこもっていた時期もありましたが、それを救ったのも料理、電子レンジや炊飯器で作れる料理とレシピを考案して4年前からクックパッド(かっぺキッチン)に載せるようになり、今回のレシピ本の出版へと繋がりました。

レシピ本に掲載される料理は本格的な一品ものから簡単おつまみやデザートなど、幅広く紹介されています。各レシピの他に本文中で使われている表現の解説、例えば「ひたひたの水=材料の頭が水面から見え隠れしている位の水の量」など、料理が初めてという方には参考となる用語集なども親切丁寧に書かれています。

現在の下田昇兵さんは言葉を発するのも困難な状態で50音の文字盤を使って会話しています。そんな彼ですがレシピ本の出版をきっかけに在宅介護者に向けたUD料理の実践と試食会を兼ねた講演会など活動の幅を広げています。

多少こじ付けっぽくなりますが、これもインフラとしてのインターネットがなかったら自らが考案したUD料理を世間に広めることはできなかったと思いますし、クックパッドからレシピ本へと発展することもなかったと思います。今回掲載されているレシピ数は40ほどですが、実際には200レシピ以上あるそうです。これからも新しいレシピを考案して頂いて続編を期待したいものです。

障害者こそインターネットを活用して色んな可能性に挑戦して欲しいです