「財政から読みとく日本社会」は戦後の歩みと現状の問題がよくわかります

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内容の話をする前に政治経済の話になると、専門用語や難しい言葉と表現で書かれていることが多いのですが、この本は我々の次の世代にターゲットを絞ってとてもわかりやすく丁寧に書かれています。井手栄策先生の未来の為にという本気度が伝わってきます。

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民主党政権が最低でもあと1年続いていれば、日本は方向転換できたかもしれない

この本は読み終えるのにたいへん手こずりました(笑)。私にはとても興味深い内容であったため、サラッっと読み進めることができず、じっくりじっくり咀嚼するように読みました。この書籍では日本の政治について1930年頃からの動きを世界情勢や他の国の政策などと比較しながらわかりやすく解説されています。

私が一番納得できたのは、戦後の日本は様々な好条件が重なったこともあり、あまり高い税金を徴収せず経済成長による所得の伸びと貯蓄や資産形成による自己責任を推奨し、社会保障は力を入れてこなかったことです。その裏付けとしては高度経済成長期に入ると、労働者が所得を増やし、貯蓄や資産形成がしやすいよう所得税減税を繰り返して小さい国家へと向います。つまり「働いて貯蓄や資産を増やして将来に備えてね」という「勤労国家」であったことがわかりました。

この頃は黙っていても上手くいくような状態で、度々所得税減税を実施しても資金不足にはならず国債(借金)に頼る必要はありませんでした。そもそも戦後はGHQによって借金による統治が禁止されており、小さな政府にならざるを得ませんでした。教育や住宅の確保、老後の備えなどの社会保障を低くに抑え、貯蓄や資産による自己責任とすることが基本となり、それは今も大きく変わっていないと思います。

しかし高度経済成長に停滞傾向が見え、オイルショックなどの影響も受けて財政危機に陥ります。経済界は世界的に競争力が落ちるということで法人税の増税に強く反発し、とうとう国債を発行して借金に頼らざるを得なくなります。つまり経済成長を前提としていた社会は上手くいかなくなり、もともと社会保障に乏しかったところに経済の停滞、後退によって国民所得が下がり貯蓄も失われ、自己責任による生活の確保も難しくなり様々な問題が出てきました。

日本の社会保障、とくに戦後の復興期から高度経済成長期では「高額な税金や保険料を徴収しないかわりに、その分を貯蓄にまわして自己責任でお願いします」という政策だったと思います。しかし経済が頭打ちの現在では国民の所得は伸びない、少子高齢化によって必要となる社会保障費は増える一方、そもそも高度経済成長期は法人税減税や所得税減税によって国民にお金をまわせば消費や貯蓄に繋がっていましたが、現在は需要が満たされており消費にまわりません使うとことや物が無い状態、世の中のお金がまわらないので所得も増えず、税収も上がりません銀行の金庫に眠ったままのお金はただの紙切れです。

私の結論としては「勤労国家」から「分配国家」へと舵を切るべきだと思います。民主党政権時の「子ども手当」は面白い試みだったと思います。

書籍の最後に出てきた「現物支給のベーシックインカム」にも期待しています