精神病院はいらない!を読み終えて

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週末は謎の鼻水鼻づまりに悩まされ、集中力を欠くような状況でようやく読み終わりました。ついでに付録のDVD「むかしmattoの町があった」も、昨年の札幌上映会以来、約1年ぶりに見直してみました。書籍はイタリア精神医療改革を達成した関係者の証言をインタビュー形式で紹介されています。この書籍ではその苦労話を知ることができました。

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制度を壊す、壁を壊す、常識を壊す、破壊の連続で改革を達成する

書籍で知りましたが、精神病院の廃止はイタリア以外でも進められているそうなのですが、実際に精神病院から精神保健センターへの移行は、イタリアとスウェーデンの一部の地域で達成されている程度で、イタリアも地域によって格差はあるそうです。他にも移行途中であったり、逆に社会問題化した例なども紹介されています。

イタリアのトリエステが成功した要因は、徐々に移行するという官僚的な進め方では遅すぎるとし、まず精神病院の廃止を強く打ち出します。その理由は精神病院と精神保健センターの同時に運用はコストがかかる精神病院へ戻せるルートは逃げ道になる。新しいものを作るために古い物を壊す必要がある、つまり退路を断ってしまうという意識改革を行った点です。

医療関係者にもかなりの抵抗や混乱があったそうです。今までは病院の中で行っていたことを、障害者が生活する地域で本人やその家族、関係者が希望する場所やニーズに対して行うようになりました。例えば家庭、職場、学校、時には落ち着く場所で食事をしながらとかであったりと、あくまでも当事者や相談者に決定権がありました。

仕事内容も病院内では医療行為が中心でしたが、精神障害者を地域で暮らせるようにすることが主体へと代わり、家族や職場、学校や地域住人との人間関係の構築、住居や仕事の斡旋、必要であれば教育の施し、さらにトラブルの解決にもあたるなど、精神障害者が地域で生活する上で必要となることや困りごとすべてに関わることへと変わりました。

患者の人生を作り直す方向へと医療改革が行われ、バザーリアが改革を始めたころは、医療費予算のうち精神医療が約半分を占めていたのに対し現在では5%程度とのことです。医師と患者、主人と召使のような関係を壊したことで精神障害者の人権が保障され、人間らしさを戻した一方で1/4の医療従事者は脱落したそうです。

先日、札幌の福祉を変えようというソーシャルワーカーグループが結成され、このような貴重な集まりに私も参加させて頂きました。バザーリアが目指した地域医療、イタリア精神保健センターの取り組みは、失敗例も含めて参考となることがたくさんありました。

映画「むかしmattoの町があった」は多くの方に見て貰いたい作品です。